シール帳の次は「お菓子帳」

EC運用

2026年7月 | EC担当者・バイヤー向け

前回、シールブームを支えた3つの消費者心理──①アナログ回帰、②交換・共有のコミュニティ体験、③平成ノスタルジー──が次にどのカテゴリーに流れるかを解説しました。今回はその筆頭候補「お菓子帳」を深掘りします。すでに小学生~高校生の間で静かなブームとなっており、SNSでは制作動画が数十万回再生されるなど、次の主戦場になりつつあるカテゴリーです。


SECTION 01 お菓子帳とは何か

お菓子帳とは、お気に入りのお菓子のパッケージを切り抜いたり、小袋のまま台紙に貼ったりして、自分だけの「お菓子図鑑」を作る遊びです。作り方の基本はシンプルで、リングファイルやクリアポケットに、両面テープで好きなお菓子を貼っていくだけ。ジャンル(チョコ・グミ・ラムネなど)ごとにページを分けたり、色やサイズでレイアウトを工夫したりすることで、コレクションとしての完成度が上がります。

シール帳との構造的な共通点は明確です。「集める・貼る・見せる・交換する」という体験の型がそのまま引き継がれており、シールが品薄になった反動で、より入手しやすい身近な素材=お菓子に対象が移ったという側面もあります。

SECTION 02 なぜ今、お菓子帳が伸びているのか

①平成女児文化の「再生産」という構造

2000年代にシール帳文化を経験した平成女児世代が、今まさに親になっている年代です。かつての平成女児たちが、その体験を自分の子どもに伝える過程で、シール帳の代替・発展形としてお菓子帳が見出されたという流れがあり、親世代を巻き込んだ「平成文化商法」的な広がり方をしているのが特徴です。祖父母や親戚が子どもにお菓子帳セットを贈るようなギフト消費も生まれています。

②レトロ×新規性という二重の魅力

駄菓子自体が現代の子どもにとって「珍しいもの」になっており、レトロなパッケージやキャラクターがまるでレアカードのような価値を帯びています。普段の駄菓子屋体験では得られない「集める楽しさ」が、お小遣いで気軽に買える手頃さと結びついているのが強みです。

③SNSとの高い親和性

制作過程そのものがコンテンツになる点もシールブームとの共通点です。InstagramやTikTokでは「お菓子帳を作ってみた」系の投稿が定番化しており、自分の作品を発信して反応をもらえることが、新しいコミュニケーションの場として機能しています。「映える」台紙・レイアウトへの需要は、EC側の見せ方にも直結するポイントです。

④知育・親子コミュニケーションという副次的価値

ページ構成をテーマ立てて考えたり(「今日はチョコ特集」「コンビニ限定だけ集める」など)、色のバランスやロゴの配置を工夫したりする過程は、子どもが小さな編集者のように手を動かす体験でもあります。親は素材を用意するだけで、あとは子どもの感性に委ねるという関わり方が「共同作業」として親世代にも支持されている点は、シール帳になかった価値です。

SECTION 03 EC商材としてのお菓子帳市場

現状、市場でお菓子帳という名称そのものの専用商品はまだ少なく、シール帳用のリフィル・クリアバインダーが「お菓子帳」というキーワードを付加して転用販売されているのが実態です。裏を返せば、専用設計のポジションはまだ空いているということでもあります。

今すぐ仕入れ・展開を検討したい商品カテゴリー

カテゴリー内容バイヤー視点
リングファイル・バインダー本体A5・B5サイズ中心。厚みが出やすいのでリング径にゆとりのあるタイプが有利シール帳と同一ジャンルとして棚を統一すると回遊性が上がる
クリアポケット・台紙リフィル透明タイプ、半透明マットタイプなど。汚れ・におい移り対策の需要もあり「お菓子帳専用」と明示したPOP・商品名だけで検索訴求力が上がる
両面テープ・粘着シート強粘着タイプが人気。お菓子の脱落防止ニーズが高い消耗品としてリピート購買につながりやすい併売商材
仕切り・インデックスジャンル別(チョコ/グミ/ラムネ等)に分けるための仕切りシートコレクション整理の「サポートグッズ」として単価アップに寄与
デコ素材(マスキングテープ・シール)ページを装飾するための素材シール帳需要とも重なるためクロスセルしやすい

バイヤーアクション

  • 商品名・カテゴリタグに「お菓子帳」「おかし帳」「お菓子コレクション」を明示し、検索流入を取りこぼさない。
  • シール帳コーナーと同一ページ・同一カートで展開し、セット買い(ファイル+リフィル+テープ)を促す動線を作る。
  • 「映える」レイアウト例を商品画像・動画で見せることが購買の決め手になりやすいため、実際に貼り込んだビジュアルを訴求素材に使う。
  • ギフト需要(祖父母・親戚から子どもへ)を意識した、はじめてセット・スターターキットの企画も有効。

SECTION 04 今後の展開予測

菓子メーカー側でも、切り抜きやすいガイドライン付きパッケージの採用や、専用リフィルのノベルティ展開といった動きが今後加速すると見られています。文具メーカー側の「お菓子帳」専用ライン投入も時間の問題であり、先に専用商材のポジションを取れるかどうかが、この先の差別化ポイントになります。

アナログな手触りとSNSでの発信力が両立している点で、お菓子帳はシール帳よりも息の長いカテゴリーになる可能性があります。子どもの成長に合わせて「本格的なコレクション」へ発展していく余地がある点も、継続購買を生みやすい構造です。


まとめ|今すぐ動くべき3つ

  1. 「お菓子帳」ワードでの商品名・タグ最適化を今すぐ実施する
  2. リング径にゆとりのあるファイル・強粘着テープ・ジャンル仕切りをセット展開する
  3. 実際に貼り込んだビジュアル素材を用意し、購買の決め手となる「映え」を訴求する

2026年7月作成 / EC担当者・バイヤー向けトレンドレポート(前回記事「2026年雑貨ECトレンド完全解説」続編)

コメント

タイトルとURLをコピーしました